リハビリテーションについてリハビリテーションという言葉は、機能回復訓練、あるいは社会復帰の意味で理解されていることが多いと思います。しかし、その本来の意味は人間が人間にふさわしくない状態になったときに再びそれをふさわしい状態に戻すこと、すなわち「権利、資格、名誉の回復」という意味で使われてきた、長い歴史をもった言葉です。 リハビリテーション医学が対象とする疾患には、脳卒中、脊髄損傷、脳性麻痺、神経筋疾患、骨関節疾患、呼吸器疾患、循環器疾患、糖尿病など非常に幅広い疾患が含まれます。したがって、私どもが疾患や事故などで障害を持つたとき、リハビリテ−ションが必要となってきますが、ここでのリハビリテーションも単に手足の機能訓練などの部分的な意味にとどまらず、人間全体としての「人間らしく生きる権利の回復」・・・「全人間的復権」を意味するものです。しかし、人間らしく生きる権利の回復とは必ずしも元と同じ生活状態を回復することではなく、むしろ多くの場合、障害を契機として新しい人生を建設することが必要になってきます。この際「失ったものを嘆くことよりも残されたものを大事にせよ(Rusk)」という言葉がありますが、残された能力だけでなく、障害者個人の物的、心理的潜在能力を上手に引き出すことがリハビリテーションの現場では重要となってきます。このようにリハビリテーション医学では、個人の「生活」の視点を導入従来「生命」の視点が支配的であった治療法学とは異なる点であることと考えられます。 また、最近では、障害者は、通常の人々とともに一般的社会で生活すべきだというノーマライゼイションの思想や、たとえ障害が重度であっても地域で自立した生活を送れるようにすべきだという自立生活の思想から、地域リハビリテーションの必要性がいわれるようになってきました。私どもの病院は昨年秋に愛媛から松山地域リハビリテーション広域支援センターの指定を受けました。障害を持つ方々やその家族が地域社会でいきいきとした生活が遅れるように、医療や保険、福祉および生活にかかわるあらゆる人々や機能、組織がリハビリテーションの立場から協力しあって、当センターの活動を実りのあるものに出来ればと考えています。また、何かお尋ねになりたいことがありましたら、いつでもご遠慮なくお申し出下さい。 ( 光長 栄治 ) |