頭痛のいろいろ頭痛は日頃よく経験する症状です。その痛みの程度は、いつの間にか忘れてしまいそうなものからかなり激しいものまで様々です。そしてその原因もいろいろですが、多くは、緊張型頭痛や片頭痛(血管性頭痛)などの機能性頭痛といわれるものです。これらの頭痛は脳自体に問題はなく、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)などの画像診断で異常を指摘されることはありません。緊張型頭痛の多くは首や肩のこりが原因となって起るため、入浴や体操なども治療効果があります。片頭痛は、当部の血管が拡張することにより起こり、緊張型頭痛と片頭痛では有効な鎮痛剤の種類も違うため、それぞれに応じた鎮痛剤の選択が必要です。最近、片頭痛発作にかなり有効な鎮痛剤が保険適用になりました。 頭痛の中には、生命に危険の及ぶような何らかの病気が原因になって起こる症候性頭痛があります。脳腫瘍による頭痛もその一つですが、腫瘍が大きくなり脳を圧迫する頭痛が出現するため、頭痛で気づいた時にはすでに大きくなっていることが多いようです。また、大脳や小脳などに出血する脳腫瘍も頭痛をきたしますが、出血の部位にいより手足が麻痺することも、まったく頭痛だけのこともあります。脳の表面に出血をきたすクモ膜下出血は、今までに経験のない激しい頭痛があり、またたく間に重篤になってしまう場合から、一時的な軽い痛みだけのこともあります。このクモ膜下出血の原因はほとんどが脳動脈瘤の破裂ですが、その経過は出血量に関係することから、なるべく早く診断し、再び出血しないように手術を行う必要があります。 最近ではCTやMRIによる画像診断が進歩し、特にMRIは断面像だけではなく造影剤を使わないで血管像も観察することができます。そして、脳腫瘍の早期発見や脳卒中の予防や治療に役立っています。 頭痛の多くは自然に軽快することから容易に考えがちですが、一部には重篤な病気の初発症状の可能性もあり、早めの診察をお勧めいたします。 ( 中野 敬
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