東温市医師会

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新市「東温市」における医師会活動

 医師会と聞いて市民の皆さんはどの様な印象をお持ちでしょうか。医師の利益を追求する政治的な圧力団体と誤解されている向きがあるかも分かりませんので、東温市が誕生したのを期に改めて地域医師会活動の一端を紹介させていただいて皆さんのご理解を得ておきたいと思います。

 地域医師会の歴史をひも解いてみますと、当初は開業医の親睦団体との意味合いが強かったことは否めない事実のようです。しかし昭和36年に国民皆保険となり患者さんの医療機関への受診が容易になったこととか、医学医療の進歩に遅れないためとか、保健福祉行政への協力などから地域医師会活動は本格化してきまた。最近では医師会の構成員も開業医よりもむしろ勤務医の数のほうが上回るようになっております。

 医師会活動の柱として、1.学術団体として生涯教育活動を通じて医学医術の研 を積む、2.地域医療保健福祉活動を通じて地域住民の健康維持向上に寄与する、3.会員福祉活動により会員相互の融和と団結を図る、などが挙げられます。医師は日常診療において「かかりつけ医」として地域住民の病気を治すことや健康相談に応じることが本来の職責ですが、行政と協力して保健福祉活動を行うことも重要な仕事となっております。従来より東温地区におきまして在宅当番医制度で休日初期救急診療を行うとともに母子保健、高齢者保健福祉事業とか予防接種や各種健診事業等で行政と緊密な連携をとってきております。医師の責務として生涯を通じて勉強をすることは当然のことですが、各種講演会、研修会を開催して、その手助けを医師会で行っており、会員間の意思の疎通を充分に図り、医師としてのレベルをお互いに保つように努力をしております。東温市医師会の今後の重点活動方針としましては市民の皆さんの健康長寿を目指して健康、病気に関するより充実した啓蒙活動を市当局ならびに関係各位の方々とともに行いたいと考えております。また東温地区は医療施設が非常に充実した地域であり、この医療資源を活用して市民の皆さんが地域で満足した医療が受けられるように各医療機関の連携をより一層進めて参ります。

 市民の皆さんは日本の医療制度が世界に たる素晴らしいものであることを実感されておられるでしょうか。国民皆保険制度のもと保険証一枚あれば全国のいかなる医療機関でも診察を受けることができます。また医師は保険診療という制限はありますが、国民誰に対しても差別の無い医療をしなければならない義務を負っております。日本の医療がWHO(世界保健機関)から平等性と効率性において世界一の評価を得ている所以です。ところが最近になって国の医療費負担の削減とか国民の医療に対する多様なニーズに応えるべきなどの各目で混合診療を解禁しようとする動きが活発化しており、国民皆保険制度の崩壊につながりかねない状況となっております。現在、保険で認められていない医療行為(例えば実績のない新しい治療法など)は保険診療と同時には出来ないのですが、混合診療は、この部分を自分で支払えば(これを自費診療分といいます)保険診療分も認めるというものです。一見良さそうに思えますが、この制度が導入されると保険診療の制限が大きくなった場合(保険医療費を抑制しようとすれば医学医療の進歩による先進医療は公的保険でカバーされにくくなります)、お金がない人は充分な医療を受けることが出来なくなります。これまでは少なくとも「いのち」に関して日本国民は平等であったものが混合診療の導入によって命の値段に差がついてしまうことにもなりかねません。医師会は誰でも、いつでも、どこでも安心して平等に医療を受けられる国民皆保険制度を守るための運動を進めております。市民の皆さんにも趣旨をご理解いただき運動に参加していただきたいとお願いする次第です。これからは顔の見える医師会を目指して活動をして行きたいと考えておりますので宜しくお願いいたします。

( 別宮 徹 )