オープンベッドをご存知ですかオープンベットは、健康保険上、開放型病床といいます。診察所の先生が、その紹介で病院に入院した患者さんを病院の医師と共同で治療にあたる制度です。病院と診療所の役割分担とその連携、いわゆる病診連携のための重要な制度です。 では病診連携はなぜ必要なのでしょうか。まず、患者さんは最初にどこで受診したらよいかという問題があります。いわゆるプライマリ・ケアです。大きな病院に患者が集中し3時間待って3分診療、という問題になりました。そこで、かかりつけの診療所でまず受診し、必要に応じて、病院に紹介することが、患者の利便性、医療資源の有効利用、医療費の抑制等に必要とされています。英国では救急以外は家庭医を受診する制度になっており、そこから専門医に紹介されます。(余談ですが、家庭医のことを英国ではホームドクターではなく、GP、ゼネラルプラクティショナーといいます)。 ただし、単なる紹介だけではスムーズに引き継げない場合もあります。診療所のかかりつけの先生は、日頃から患者さんの健康管理をされているので、病院の医師より、患者さんの病状をよくご存知ですが紹介状にはすべてを書ききれません。また、高齢の方などで意思表示が不自由な場合は日頃から接しているかかりつけの先生の助言が必要です。患者さんによってはかかりつけの先生の姿が見えないことで精神的に不安定になることもあります。 このような場合に、かかりつけの先生が病院に出向き、病院の医師と共同で診察、治療にあたる制度がオープンベッド、すなわち、開放型病床なのです。患者さんには二人の主治医がつくことになり、よりきめ細かな治療が可能です。 退院後も入院中の経過をよくご存知の、かかりつけの先生のもとで受診できます。これでさらに円滑な病診連携が可能となります。 愛媛病院では現在40数名の先生方が開放型病床に登録されています。東温市の診療所ではほとんどの先生に登録していただいております。 介護保険の導入とその認定を機に、地域の診療所の役割がさらに重要になっています。その診療所と病院との連携方法の一つとして、オープンベッドがあり、患者さんの高齢化に伴い、今後ますます必要とされることでしょう。 ( 西村 一孝 ) |