突き指をしたら指を引っ張らないといけない−と言われます。私も整形外科医になるまでは、そう信じていました。しかし、そうではありません。突き指でおこる骨折の中には、引っ張るとダメな骨折もあり、むしろそういう骨折の方が多いようです。引っ張るとかえってずれてしまい、曲げた方が元に戻る骨折もあります。 一般的にスポーツで外傷を受けた時、初期治療としてRICE療法を行う事が原則です。RICE療法とは、R−Rest−安静、I−Icing−冷却、C−Compresion−圧迫、E−Elevation−挙上、の頭文字の略です。それを原則48時間(2日から3日間)行うと、初期の出血と腫れを抑える事が出来、治りが早くなります。 つまり突き指をしたら、患部をあまり動かさずに(引っ張ったり、曲げたりせずに)、出来れば何かで固定をして、出来れば心臓より上に上げて、まずは冷やす事です。 冷やす際に、よく湿布で冷やす。と言いますが、湿布では、冷やす効果はありません。氷で冷やさないといけません。氷をビニール袋にでも入れて、まわりをタオルでくるんで、患部に当てて冷やしてください。 湿布は、冷湿布とか温湿布とか言いますが、冷湿布は、正確には冷感湿布で、冷える感じのする湿布、温湿布も同様に、温かい感じのする湿布という事で、皮膚を刺激して、実際に冷やしたり温めたりしている訳ではありません。湿布の本来の作用は、湿布の表面に塗ってある薬が皮膚を通して患部に入っていって炎症を抑える事です。だから、実際に冷やす場合は、氷で冷やさないといけませんし、温める場合は、カイロなどで温めないといけません。 そして、病院を受診して、レントゲンの検査をして、骨折の有無を確かめてください。 ( 西本 章 ) |