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歩いたときにあしのしびれや痛みはありませんか?

 中年以降の方で歩いたときにあしのしびれや痛みがある場合には腰部脊柱管狭窄症またはバージャー病、閉塞性動脈硬化症などの血管性の病気である可能性があります。

 腰部脊柱管狭窄症という病気は主に整形外科で治療を行っています。まず腰部脊柱管狭窄症というのはどのような病気なのかお話しいたしましょう。せぼねの後方には骨に囲まれた穴の開いた部分があり、さらに椎間板や靭帯の要素などが加わり、首、背中、腰、尾部にかけて筒状につながっていて脊柱管と呼ばれるものを構成しています。脊柱管の中には大切な脊髄や神経の束が通っています。脊柱管の腰の部分では1本の脊髄から馬の尻尾のようにたくさんの神経へと枝分かれしていきます。その脊柱管の馬尾になった部分あるいは神経の1本1本(神経根)がしめつけられた状態になり障害を生じたものを腰部脊柱管狭窄症といいます。神経がしめつけられた状態が続くと血行障害が生じて症状が出現すると考えられています。

 症状としては腰痛、下肢痛、しびれ、間欠性跛行(歩行することにより下肢にしびれや痛みが出現し歩き続けることができなくなるのですが休息すると楽になりまた歩くことができるようになる歩行障害)があります。よく似た跛行がバージャー病、閉塞性動脈硬化症などの血管性の病気でみられます。これらは下肢に血液がうまく行き渡らないために起こるものです。

 検査としては単純X線撮影、MRI、CT、脊髄造影、選択的神経根造影などが行われます。保存的治療として(1)体操療法(腰周辺の筋肉を強化)、(2)物理療法(温熱治療など)、(3)装具療法(腰を伸展させないようにするコルセットを装着)、(4)薬物療法(消炎鎮痛剤、ビタミンB12、循環改善剤としてプロスタグランジン製剤の投与)、(5)ブロック療法が主なものとしてあげられますが実際にはこれらの幾つかを併用するかたちになります。

 気になる症状のある方はまず専門医の受診をお勧めいたします。

( 増田 義久 )