肺がんについて「ヒト」が生きていくうえで、必要な生命活動には、心臓の鼓動、栄養の補給、水分の補給、老廃物の体の外への排出、考える、認識するなどの精神の働きなどがあげられます。このような、生命活動のひとつに酸素の補給と炭酸ガスの排出からなる呼吸があります。この重要な生命活動を司るのが呼吸器です。今回は、この呼吸器の病気のうち肺がんに焦点を当てて説明します。 肺がんには、代表的な腺癌、扁平上皮癌、小細胞癌という3種類の形(組織型)をはじめとしたいくつかの顔があり、それぞれ、性格も若干異なっています。そしてその原因の一つに「たばこ」が挙げられます。肺がんは多くの場合は症状の無い状態で住民検診をはじめとした各種の検診やほかの病気の検査の際に偶然レントゲンや胸部のCT検査で見つかり(症状のない状態の手術が手術後の長生きの可能性が高い)、治療に回されています。そのほかに、発見のきっかけになる症状として、痰に血が混じる(血痰)、咳(2週間以上続けばいろいろな呼吸器の病気について要注意)、痛み、また耳鼻科の先生にかかることが多い「声がかすれる」という症状もあります。 治療については、手術や放射線治療、抗がん剤の治療があり、それぞれの治療成績も次第に向上してきており、より高齢の方についても安全に総合的な治療が行われるようになっています。そのなかで手術としては、胸部を切開して直接胸の中を見て手術をする開胸手術から、胸腔鏡といって小さな傷から胸の中を見ながらの手術を行う胸腔鏡下の手術もできるようになっています。手術の治療成績としては、日本全体の調査で、肺の中にがんがとどまり、大きさが3cm 以下の場合では8 割以上の方が、手術の後5年間生存するという成績が出ています。そのような成績もあることですので、昔は本人さんに病名を知らせる(告知)するかどうかと言う議論がありましたが、いまでは本人さんにはっきりと病名を知っていただく方が、後々の検査や治療について相談もしやすいなどという利点(本人さんにとっても)も多いことですので多くの病院では病気について本人さんに病名を知らせています。 肺がんについて、漠然とした内容ですが述べてみました。 ( 中村 憲二 )
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