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腰部脊柱管狭窄症について

 整形外科の日常診療において、腰部脊柱管狭窄症の患者さんを診る機会が増えてきています。あの、みのもんたさんが受けた手術ということで、この腰部脊柱管狭窄症という病名が、多くの方の知るところとなったと思います。

 この病気は、多くの場合腰椎部の加齢変性の結果発症し、腰痛、下肢痛、しびれを生じますが、間欠はこうが特徴的です。これは、暫く歩くと下肢の痛み、しびれで休む、休むと1〜2分でまた歩けるといった症状です。姿勢により、脊柱管の形態は変化することがわかっています。腰椎部は前屈すると脊柱管が拡大し、逆に後屈するとさらに狭小化します。これは、暫く歩いていて、下肢痛やしびれが出てきたら、しゃがみ込んだり、前屈ぎみの姿勢になると、楽になることでもわかります。但し、似たような症状が閉塞性動脈硬化症などにみられる血管性間欠はこうがあります。この場合には、歩行姿勢と無関係に生じ、休息時の姿勢も関係がなく、通常は5〜10分位楽になるのに時間が必要です。治療方法が異なりますので、注意が必要です。

  腰部脊柱管狭窄症の自然経過に関しては、報告が多くありません。日本では、5年以上追跡した報告がありますが、41例で、自覚症状では軽減20%、不変60%、悪化20%であり、他覚所見では軽減15%、不変29%、悪化56%であったとの報告でした。必ずしも、全例が悪化するわけではありません。治療に関しては、保存治療と手術治療に分けられます。保存治療には日常生活の指導、理学療法、薬物療法、神経ブロックなどがあります。特に、日常生活指導では、この病気の病態をよく説明し、なぜ杖歩行、自転車走行、車の運転などが楽なのかを理解していただくことが大切であると思います。手術治療は、色々な方法が選択されますが、専門の先生とご相談してみてください。

(光長 栄治 )