聞こえていますか?自分の視力がどの程度か皆さんはよくご存じでしょう。しかし、聞こえについてはどうでしょうか。どの程度聞こえているかと尋ねられても視力のように数値で答えられる方はほとんどいないでしょう。聞こえの検査を受ける機会がないので当然のことです。聴力は人間が最も小さく聞こえる大きさを0デシベルとして表します。正常聴力は20デシベル以下で、人の話し声は約50デシベル、トラックなどの車の騒音は約100デシベルです。 人は20歳を過ぎると年齢とともに聴力が低下していき、70歳で約40デシベルになります。聴力は特に高い音(高域)より低下していくため、電話の呼び出し音や、時計の秒針の音が最初に聞こえにくくなくなってきます。難聴が進むと日常の生活に支障をきたすようになりますが、一般に聞こえで不自由と感じるのは40デシベルを越えてからです。テレビの音を少し大きくしないと言っていることが分かりにくいと感じたら約40デシベル程度の難聴でしょう。 聞こえが悪くなると補聴器が必要となってきます。難聴が軽いときは違和感も少なく補聴器を使用することが出来るのですが、実際には軽度難聴では補聴器を使用される方は多くありません。難聴は年齢とともに徐々に進むため難聴の自覚に乏しいことと、補聴器をつけると障害者にみられるのではないかと抵抗があるようです。40デシベル程度の軽度難聴の方は自分では聞こえているつもりでも相手が小さな声で話すと充分聞こえておらず、話の内容を正確に理解できていません。一方、話し手も聞き手が難聴であることがわかりにくく、聞こえているものとして話をします。そこで双方の意志疎通がうまく行かず「言った、言わない」でトラブルになることが多いのです。特に会合や仕事上での話しでは聞き漏らしや聞き違いがあっては大変です。最近は耳の中に挿入するタイプのデジタル式補聴器が進歩してきており、軽度難聴の方にもお勧めです。職場や家庭、さらに近所の方との会話によるコミニケーションは大切です。そのためにもテレビの音を少し大きくしないと話している内容がわかりにくいと感じたら一度聴力を調べてみてはどうでしょうか。 (佐藤 英光 )
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