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生後1か月過ぎたらワクチン接種を考えましょう

  ワクチンは病気にかからないようにするためと病気の重症化を防ぐためにとても大事です。

  昨年11 月からロタウイルス感染症を予防する新しいワクチンが認可されて使われるようになりました。感染性胃腸炎の原因にはよく報道されているノロウイルスが有名ですが、乳幼児ではロタウイルスによるものが多いと考えられています。乳児がロタウイルス感染症にかかると、頻回に起こる白色便性の水様便と嘔吐により重症の脱水状態となり死亡する可能性があります。その後も何回もかかりますが、ひどい状態になるのは初回だけであることがほとんどで、その後の罹患では軽い下痢ですむことが多いと言われています。幸い日本の医療制度の元では嘔吐下痢の症状が起こればすぐに受診でき、脱水になれば点滴をする方法で死亡してしまうほどの例はほとんどありませんが、世界的には乳幼児の感染性腸炎による死亡例はとても多く、その予防や治療は大変重要な課題でした。今回のワクチンはその重症化予防のために以前から世界的に使用されてきたワクチンで、現在では全世界1 2 0 カ国以上で使われています。使用方法は生後6 週から24 週までの期間に2 回経口摂取します。生後24 週を過ぎての投与ができない理由は以前に使われたロタウイルスのワクチンの副作用で腸重積症が起こる頻度が高かったためで、生後24 週以後の投与を控えるようにしています。

  このワクチンは生ワクチンであり、このワクチンを飲むと4週間は次のワクチンの接種ができませんので、ちょうど、この時期に打つことができる細菌性髄膜炎予防のヒブワクチンや肺炎球菌ワクチン、さらにクチンや肺炎球菌ワクチン、さらに三種混合やCG等のワクチンとの調整が難しくなります。またこのワクチンの接種料金は高く、1 回に1 万3 千円くらいかかります。上記で述べたワクチン以外に 型肝炎を予防するワクチンについても早期から接種をした方がいいと考えられています。いろんなワクチンのことについて、生後二ヶ月前にぜひ一度小児科医にご相談下さい。

(石川 純一)