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光老化と皮膚ガン

  日焼けをすると皮膚の表面の細胞に傷ができます。皮膚はこの傷を自分で修復しようとしますが、日焼けを繰り返していると治しきれなくなるので、長い年月の後には徐々にしみ、しわ、良性や悪性の腫瘍がでてきます。

  日本人は紫外線から皮膚を守るメラニンの量が多いので、白人と比べると皮膚ガンの発生率は低いのですが、高齢化社会になったために今まで日光にあたり続けていた顔、頭、前腕、手背などにガンが増えてきました。黒っぽい色をしたホクロのガン(メラノーマ)や基底細胞ガンなどのほかに、日光角化症という前癌状態のもの(長期間放置しておくと一部のものがガンになることがある)も多くなってきました。

  日光角化症は60歳を過ぎた頃から発症することが多く、そのほとんどがカサカサしたピンク色や薄い茶色の1cm前後の斑なので、湿疹とまちがえることもあります。自覚症状はほとんどありませんが、軽いかゆみや触れるとヒリヒリすることもあります。このほかにイボのようにもりあがったり、角のようにかたく突き出たりするタイプもあります。

  以前は経過をみながら切除したり、凍結治療をしたりしましたが、最近ぬり薬が使えるようになりました。手軽ですが毎日ぬるのではなく使い方に決まりがありますし、皮膚が赤くなるなど刺激症状も出ますのできちんと説明を受けて使う必要があります。

  幼児期からの無駄な日焼けを避けることが中高年以降の光老化の防止には不可欠です。今からではもう遅いということはありません。3月に入ると紫外線が強くなってきますので、年齢、性別にかかわらず必要以上に日光にあたらないように、くもりの日でも日焼け止めを塗る、日傘、帽子、濃い色の長袖や襟付きの衣服を利用するなどちょっとした心がけを日頃から意識してください。

(八木   文子)