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病気のはなし〜胃癌について

  胃癌による死亡者数は男女とも2位になり減少傾向にあるものの発症率は年間10万人当たり80人とすべての先進国の中で飛び抜けて高率です。(アメリカでは10万人当たり10人前後と1/8です。)原因としては食生活における塩分摂取量が著しく多いことと、ピロリ菌の感染率が際立って高いことなどが考えられます。

  日本では、10歳代のピロリ菌感染率は10%以下で、他の先進国と同水準ですが、年齢が上がるにつれて感染率が急上昇します。60歳代以上では約70%の人はピロリ菌に感染しフランスやイギリスのほぼ2倍と高水準です。ピロリ菌により引き起こされる慢性胃炎や、それがさらに進んだ腸上皮化生(粘膜が腸の細胞に変化した状態)からは、ガンが発生しやすいことが分かっています。慢性胃炎の方は年1回の内視鏡検査をお勧めします。

  今までピロリ菌の除菌治療は、胃潰瘍など特定の疾患に罹っていない限り、健康保険が適応されませんでしたが、ピロリ菌が胃癌の主因であることが明らかになり、平成25年2月からは「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」が新たに保険適応となりました。内視鏡検査及び採血などにてピロリ菌感染胃炎が確認された場合、誰でも健康保険で除菌治療が受けられるようになりました。

  胃癌は早期発見にて完治できる病気です。症状がない方も年1回の住民検診を受けていただいて、検診で異常があった場合や症状がある時は内視鏡検査をお勧めします。早期癌の場合、内視鏡的治療のみで完治できることもあります。それ以外にも腹腔鏡下手術といった体への負担が少ない治療を選択することもできます。

(古田   聡)