「特定疾患」の制度変更について神経内科でみる病気の中には、その病気の原因すらわかっておらず元に戻す治療方法がない病気すなわち難病がいくつかあります。病気の原因や元に戻す治療方法がなかなかない病気すなわち難病の一部は国が医療費などを補助するという特定疾患(特定疾患治療研究事業)という制度の対象になっています。神経内科以外でもほぼ全診療科にわたって特定疾患が指定(現在は56疾患)され特定疾患受給者証が発行されています。 ただこの他にも難病は多数あり、特定疾患に指定されていない難病の人はかなりの医療費が必要になるケースもあり、不公平ともいえるところがあるのは否めませんでした。 そこで厚生労働省は法律を制定し特定疾患の対象となる疾患を300程度に増やすものの、財政的な面からそのかわりに特定疾患の対象の方の医療費負担を増やす等の制度を平成27年1月1日から施行することになりました。 現在は移行期間として毎年6月から始まる1年に1回の特定疾患受給者証の更新をしなくても今年12月31日まで延長されることになっています(スモンの特定疾患受給者証を持っている人は例年通り)。延長した特定疾患受給者証は9月中に県保健所から送付される予定とのことです。 では今後はどうなるのか?ですが、平成27年1月1日から使える特定疾患受給者証の更新を今年の10月から12月に行うこととなっています。 ただ本原稿作成時の7月末の時点でも300程度に増える疾患は何なのかまだ不明です(8月に厚生労働省で検討委員会が何回かあるようなので、この文章が載る時には決定していると思いますが…)。また医療費の負担が増える方もおられると思われます。場合によってはかなり混乱する状況も考えられます。 今後県の保健所からいろいろな通知がくる・報道などで対象となる疾患などの報道があると思われます。特定疾患受給者証をお持ちの方・そのご家族、さらに医療・介護など関係職種の方はこれから県の通知やテレビや新聞などの報道などにも注意をしておいた方がいいでしょう。 (橋本 司)
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