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健診の結果は正常?異常?

   皆さんは、日本人間ドック学会と健康保険連合会が、健康診断や人間ドックで『異常なし』とする値を緩めると発表した、との新聞報道(平成24年4月4日)を憶えておられますか?血圧は収縮期で147まで良いとか、男性のLDL(悪玉)コレステロールは178まで良いとかいった内容でした。

   これを受け、日本高血圧学会や日本動脈硬化学会は、報道内容や日本人間ドック学会に、反対の見解を発表しました。

   どうしてこのような問題が出てきたのでしょうか?それは、そもそも真の正常値はないことにあります。まずは、皆さんが医療機関や健診で検査を受けた時に貰った検査結果を見て下さい。そこには、『正常値』ではなく『基準値』と書いてあるはずです。

   『基準値』とは、検査値を判断するには「物差し」になる値が必要な為、統計学的に(計算で)求められたものです。簡単に言えば、『健康と思われる』多くの人の検査値が、およそ95%おさまる範囲を示す値にすぎないのです。つまり、人間ドック学会が発表した基準値は、『今だけは問題がない』かの参考値にしかならないのです。

   一方、生活習慣病に関する検査値は、将来に脳卒中や心筋梗塞などを発症させない為の値を基準値としなければ意味がありません。この為、専門学会は、過去のデータをもとに、いくらの値になると、将来に様々な病気を引き起こす確率がどの程度増えるかを考え、『将来も健康である為に、今から守るべき』基準値を出しているのです。

   このように、検査の解釈ですら、これからも変化し続けます。皆様は、今後も様々な医療情報を見たり聞いたりされることでしょう。しかし、過剰に心配することなく、過信もせず、日々努力し続ける医者をご信頼下さい。

(小林   卓正)