肺癌の治療について現在、日本人の死亡原因は、悪性新生物(がん)が1位、うち、最も多いものが肺癌です。肺でできた癌のうち、9割が非小細胞癌、1割が小細胞癌という種類のものです。外科で手術対象となるのは主に非小細胞肺癌です。 検査で癌の拡がりを調べ、進み具合(病期)を評価し、患者様の体力等も含めて検討し、最適な治療方針が決定されます。実際にはもう少し複雑なのですが、大まかには、腫瘍の大きさが5p以下でリンパ節転移がないものはI期、5pを超えたり、近くのリンパ節に転移するとU期、少し離れたリンパ節に転移するとV期、遠くのリンパ節や他臓器に転移があるとW期となります。 治療は、できる限り手術を行います。I期のうち腫瘍が3cm以下は手術単独、3-5pのI期、U期、及びV期の一部は手術に術後抗癌剤治療を追加します。V期の多くやW期は抗癌剤治療及び放射線治療が中心となります。さらに、一人ひとりの患者様の体力や併存疾患の状況を加味して、最適な治療方針が決定されます。 手術は5つある肺の部屋のうち、1つを切除しリンパ節郭清を行う手術(葉切除+リンパ節郭清)が標準です。条件を満たす場合に部屋の一部だけをとる積極的な縮小手術や、術後合併症を避ける目的で切除範囲を減らす等の方法が選択される事もあります。医療技術が進歩し、大きな開胸による手術は減り、カメラ(胸腔鏡)視野下の手術が増えています。3p小切開を含む穴から手術する方法(完全鏡視下手術)、5-6p切開でカメラの視野と、目で直接見た視野を併用する方法(ハイブリッド手術)、12-20p切開で手術を行う方法まで、状況に応じて術式を使い分けます。 (湯汲 俊悟)
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