日本は世界でも日本は世界でも有数の長寿国です。平均寿命が男性80歳、女性は87〜88歳となっています。これは医療の発達、食生活の変化、栄養状態の質の改善によるものが大きいと考えられます。訪問医療や往診をしているとき、脳卒中等が原因で寝たきり状態となった患者さんの介護をしている家族の姿を見ると、本当に大変だと思います。最近は健康寿命という言葉をよく耳にします。高齢になっても自立した生活を送れるようにしたいものです。そのためには足腰を丈夫にして、大きな病気にかからないように予防していくことが大切です。 日本人の三大死亡原因は、がん・ 肺炎・循環器病(脳卒中、心筋梗塞等)ですが、脳卒中や心筋梗塞の主な原因は糖尿病・高血圧・高脂血症です。これら3つの病気はほとんど症状がないため、診断されても治療を続けることが難しく、中断する人も多くいます。重大な病気の予防を考え、継続した治療をお願いします。転ばぬ先の杖ですよ! 最近、私の小学校からの友人が体調不良を訴えてきました。彼には糖尿病、高血圧、不整脈の持病があり、松山市内の病院に通院中でした。私は愛媛医療センターを紹介し、精密検査をお願いしました。彼は、これまで軽い山歩きやトレーニングジムに通い、積極的に体を動かしていて、特に異常はなかったのですが、入院検査をしてびっくりしました。心臓をとりまく冠状動脈に75〜95%の狭窄が数か所発見され、そのほかにも50%前後の狭窄が数か所見つかりました。このような状態の場合、通常は体動時に胸痛が出現することが多いのですが、彼の場合ほとんど症状はありませんでした。なぜなら重度の糖尿病、高齢者には無痛症の心筋梗塞というのがあり、全く症状がなかったのは彼の持病があったからです。その後、心臓カテーテルにてステント手術という血管拡張手術をし、無事に退院しましたが、あと少し発見が遅ければ、心筋梗塞を起こす可能性は大でした。糖尿病・高血圧・高脂血症は症状がないからといって安易に考えず、治療を続けましょう。 (西野 仁)
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