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ホルモン補充療法の開始時期について

今回は女性ホルモンのお話です。女性ホルモンは、月経や妊娠に大きく関与します。それ以外には、悪玉コレステロールを下げ動脈硬化を予防したり、骨を丈夫にしたり、肌に潤いをあたえ、髪を豊にし、気分を安定させたりします。

さて、閉経が近づいて、この女性ホルモンが出にくくなり、いわゆる更年期障害が始まります。更年期障害と言えば、のぼせ、腰痛肩こり、肌の衰え、ゆううつなどの症状を思い浮かべると思いますが、他にも、更年期からは、骨粗鬆症や動脈硬化の進行が急に進みはじめます。

これらに全て対応できる万能薬がホルモン補充療法です。それも骨粗鬆症や動脈硬化の進んでいないうちの、更年期または閉経直後の開始が有効です。この時期に開始することは、単に自分の体から出ていたホルモンが出なくなったのを、ホルモンを使用することでしばらく延長すると言うことで、現在のしっかりした骨やしなやかな血管の状態のまま、若さと健康を長引かせると言う事です。残念ながら、動脈硬化や高血圧などになった後からのホルモンの開始は、かえってリスクが高いと考えられています。これらが無い最近閉経を迎えられた方には、漢方薬などではなく、ホルモン補充療法開始のまたと無いチャンスなんじゃないかと考えます。

最近では、使用量もかなり低い量で効果があるといわれている事と、がんの増加も他の因子に比べ高く無い事を付け加えておきます。そして適切な管理下(適切な時期の検査、状況にあわせた使用量の変更)での使用が必要です。

あっ、実は万能薬がもうひとつあります。それは過度にならない適切な運動です。先日この欄でも触れられた「貯筋」。これも本当に大切だと思います。

(山中  研二)