東温市医師会

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頻尿について

最近、トイレの回数が多い、トイレが間に合わない症状を持つ方が増えています。正常な排尿というのは、一日の尿回数が7回以下(夜間は1回程度まで)、尿意を感じてもある程度我慢ができて、排尿を開始するとすぐに尿が出始め、勢いよく排尿でき、残尿がないといった具合です。膀胱機能が正常に働けばスムーズな排尿が可能です。膀胱というのは、尿をためる働き(畜尿)と尿を出す働き(排尿)に分けられますが、その双方が脳神経および脊髄神経によって調節されています。そして、その神経の刺激により、平滑筋と呼ばれる筋肉が収縮したり弛緩したりすることで排尿調節が行われています。頻尿となる場合は、その神経調節がうまくいっていないか、もしくは膀胱の平滑筋そのものに異常がある場合におこるのです。頻尿の原因疾患としては、過活動膀胱、膀胱炎、前立腺肥大症、脳梗塞後遺症、膀胱癌、膀胱結石などがあり、多岐にわたります。もちろんこのような原因疾患を除外した上での話ですが、最近は、過活動膀胱と診断される患者さんが非常に多くなっています。過活動膀胱の患者さんは、急に起こる、抑えられないような強い尿意があり我慢が困難だという症状に加え、日中の尿回数が8回以上であることが特徴です。原因としては加齢により膀胱の活動性が増すためと言われていますが、まだ、明らかな原因は特定されていません。ただ、過活動膀胱の患者さんでは、膀胱容量が小さくなっていることが多いため、膀胱訓練にて容量を大きくすることが症状の改善につながるとされています。具体的には、初期尿意のみを、数分間我慢し二回目の尿意で排尿するといった方法です。そして、初期尿意を我慢することが苦痛でなくなってくれば、20分、30分と時間を延長していきます。(あまり無理しすぎないように注意してください。)60分程度、我慢ができるようになると頻尿症状はかなり改善されます。また、最近は過活動膀胱に対するお薬も進歩しており、訓練をしても症状が改善しない患者さんは、一度ご相談下さい。

(島本  憲司)