レントゲン検査の豆知識病院では様々な検査が行われます。その中でも、レントゲン検査はレントゲン博士が1895年にX線を発見し、100年以上の古い歴史があります。現在の医療は、レントゲン検査なしでは成り立たないといっても過言ではなく、検査を受けた経験がある方は多いと思います。しかし、レントゲン検査を受けると放射線の被曝を受けます。日本は世界で唯一原子爆弾が投下された国で、2011年の東日本大震災で発生した福島原発事故による放射能漏れも記憶に新しく、放射能や放射線という言葉に敏感になっている人も多いのではないでしょうか。「放射線=怖い」と思い込み、体への影響はないのか?被曝によって癌にならないのか?など、不安な思いで検査を受けられていませんか? 放射線はレントゲン検査などで発生する医療放射線や原子力発電などの人工的に作られた放射線以外にも、宇宙から飛んでくるもの、地中や空気中そして食べ物など、様々なところに存在します。つまり、私たちは普段の生活においても常に放射線を浴びているのです。その中で、レントゲン検査における体への影響は無視できるほど小さなものであると、多くの研究機関が報告しています。また、日常生活において癌による死亡に関係するものは、食物・栄養が35%、喫煙が30%、感染症及び不明13%、生殖及び性習慣7%、職業4%、アルコール3%、放射線・日光3%、その他諸々であると言われています。このように我々の周りには色々な発癌物質が存在しています。放射線も僅かな割合を占めていますが、前述したように放射線にも様々な種類が存在し、その中で、医療放射線に限定した癌の発生はほとんど確認できないレベルなのです。放射線検査の影響による発癌を心配するよりも、日常の発癌要素を減らす努力を行うことの方が、有効であることは明白です。 病気は早期発見、早期治療が重要です。レントゲン検査も含め、病院で行われる検査は病気やけがを正しく診断するため、次の治療に役立てるために行うものです。それでもなお、不安に感じられる方は、主治医に受ける検査の必要性を十分に説明してもらい、理解した上で、安心した気持ちで検査を受けましょう。 (山本 卓)
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