急性胆石性胆のう炎についてこれからの季節に、気になる病気『急性胆石性胆のう炎』についてお話しします。 胆のうは、大きさ8cm×4pのナスのような形をしています。みぞおちの右側でお腹の深くにあり、肝臓でつくられた胆汁を貯める働きがあります。食べたものが、胃から小腸へ動くときに、胆のう自体が収縮することにより、胆汁が胆管を通って十二指腸の中へ流れこみ、食べ物と混ざることで、消化吸収を助けます。 初期の胆のう結石症は、自覚症状がありません。しかし、胆のうの唯一の出入り口である、 胆のう管に石がはまり込むと、強い痛みが発生します。これを胆石の疝痛(せんつう)発作といいます。さらにこの状態が長く続くと、胆のうは、栓がつまったままのラムネ瓶を強く振ったようになり、内部の圧力が高くなって、腫れあがります。これが、急性胆石性胆のう炎です。みぞおちから右わき上腹部の強い痛み、背中の痛み、悪寒・発熱や吐き気などの症状がでます。放っておくと、細菌が増殖し、胆のうが破裂して、腹膜炎になりますので、いち早く医療機関を受診し、検査・治療を受ける必要があります。 入院して絶食の状態で、抗生物質などの点滴を行います。症状が治まらなければ、胆のうに針を刺し、胆汁を吸引したり、胆のうを摘出する手術を行います。手術は、腹腔鏡を用いた手術が一般的です。腹部に直径5〜12mmの穴を4か所設け、腹腔鏡や鉗子などの手術器具を用いて、 胆のうを摘出する方法です。ただし、ひどい病状では、開腹手術になります。 例年、当院では梅雨明けから、急性胆石性胆のう炎の緊急手術が増える傾向です。特に蒸し暑い時期は、脱水になりやすく、そのようなときに元気を出そうと、アルコールを飲んだり、高脂肪の食事をする人は、要注意です。気になる場合は、早めにご相談ください。 (鈴木 秀明)
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