整形外科領域の落とし穴この原稿を依頼されたのは1ヶ月前、提出期限は大晦日なのですが、色々考えているうちに提出期限の前日になってしまいました。この時期のテレビは特番が多く、今テレビの中で某タレントが見事に大きな落とし穴に落ちていきました。 さて、診療していると皆さんの周りにも多くの落とし穴があることに気付きます。今回はそれを紹介します。 ①「関節が動くので骨折はしていない。」骨折していても動かないわけではありません。 ②「突き指は受診しなくてよい」突き指で骨や腱・靭帯を痛めることもあり、指の変形を生じることもあります。 ③「肉離れは特に治療がないから受診しなくてよい。」肉離れにも程度があり、固定や手術が必要なこともあります。まずはしっかりとした診断を受けましょう。 ④「レントゲンで骨折が無ければ大丈夫。」レントゲンでわからない程度の細かい骨の異常や、靭帯・腱(これらはレントゲンでは写らない)などの異常が隠れている場合もあります。初診時に異常を指摘されなくても痛いことは避け、悪化・長期化するようなら再度受診しましょう。 ⑤「外傷直後は冷シップを。」「慢性の痛みには温シップを。」打撲や捻挫などの受傷後早期はアイシングなどの冷却が、慢性の疼痛は保温が効果的です。しかし温シップ・冷シップには患部の温度を変える力はありません。ただ、鎮痛薬が入ったシップには、皮膚から吸収された薬剤が患部の痛みを和らげる効果があります。 ⑥「スネが痛い」愛媛県内では「膝が痛い」という意味になるようですが、全国的に見ると「スネ」は下腿(膝と足首の間)を意味することが多いようです。県外出身の医療関係者に通じないことがあるかもしれません。 皆さん、落とし穴に落ちてしまわないようご注意ください。 (竹本 勇治)
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