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生活習慣病患者に愛の後押しを

  薬害肝炎問題では国が責任を認め全員が補償されることになりました。

 糖尿病、高脂血症、メタボリックシンドローム等の生活習慣病の場合は、食事、運動、喫煙などの生活習慣を改められない本人にその責任があるのでしょうか。

 知識として病気の恐ろしさや生活習慣の大切さがわかっていても、生活習慣を変え、それを続けるということは、そうたやすいことではありません。自分の楽しみや快感を優先してしまいがちですし、仕事やつきあいなど健康よりも優先しないといけないこともあります。ひとりではがんばれません。後押しをしてくれるひと、環境が必要です。あなたの配偶者、家族、親戚、友人、同僚、袖刷りあった人の後押しをしてあげましょう。

 病気を持っていることに関して、怒り、悲しみ、恨み、不安といった感情を抱いています。話を聴いて、その気持ちに共感しましょう。決して、訴えの過小評価(それって大げさじゃない?)や突き放し(誰だってそれくらい我慢している)をしたり、不安をあおったり(放っておくと大変なことになるよ)してはいけません。

 石井は「糖尿病で血糖コントロールの悪い人は治療法を守れない人ではなくて守れない理由をもった人と考えるべきであり、その理由を発見し問題の解決を援助していく必要がある」と言っています。対話の中で、一緒にできない理由と具体的解決法を考えていきましょう。良い行動ができたなら褒めて(えらいね)あげましょう。できなくても、認めて(いいんだよ)あげましょう。

 周囲が自分の健康を気遣ってくれるという「関係性」、自分がかけがえのない存在であると思える周囲の「愛」が必要です。ひとは人間関係、「絆」の中でこそ頑張ろうという勇気がわいてきます。そして行動の変化を起こしうるのです。

「愛」の反対は「無関心」です。 マザーテレサ

(高原 完祐 )