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肺の生活習慣病

 かぜとは関係なく咳や痰が長く続いたり、階段や坂道をあがると息切れがして休んだりするようなことはありませんか?

 タバコを吸う人であれば、肺の病気として、「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」の疑いがあります。

 COPDとは気道(空気の通り道)や肺に慢性の炎症がおこり、咳や痰、息切れなどが認められる病気です。以前は息切れが多い「肺気腫」と咳や痰が多い「慢性気管支炎」に分けていましたが、合併することが多く、合わせてCOPDと呼んでいます。COPDは長い時間かけて徐々に進行する病気であり、主な原因としてタバコが考えられることから肺の生活習慣病とも呼ばれています。

日本では500万人以上の患者がいると報告されています。患者の9割がヘビースモーカーであり、タバコを吸う人の15%がCOPDになるといわれています。年齢(60歳以上に多い)や繰り返す気道感染、大気汚染も影響していると考えられています。診断は、血液検査や心電図、写真(レントゲンやCT)などで肺炎や肺癌など他の病気を除外した後、肺機能検査で行います。

 COPDの治療として、現在タバコを吸っている人は禁煙が基本です。進行性の病気で壊れた肺は元の正常な肺には戻らないため、禁煙により進行を遅らせたり、薬物療法や酸素療法、呼吸リハビリテーションにより症状を軽くすることが治療の中心になります。

 症状が軽い早期に受診して禁煙をすれば、健康な人と変わらない生活ができます。症状がある人や重症化している人でも禁煙指導、生活指導や治療を受けることにより、病気の進行を抑えることが大切です。息切れで歩かなくなって足腰が弱ってしまわないように早目に医者に相談しましょう。

( 植田 聖也 )