逆流性食道炎は最近我が国でも食生活や生活様式の欧米化が進み、高齢化や肥満に伴い増加傾向にあります。
胸やけや胸痛などの症状がある方は注意が必要です。放置した場合吐血する場合もあります。今回この病気の症状、病態、検査方法および治療について述べます。
1)臨床症状
一般的には夜間の胸やけ、腹痛、つかえ感、悪心、嘔吐なでであるが、重症では嚥下障害や体重減少を認める。時として狭心症と誤診されたり気管支喘息の原因になったりする場合がある。
2)病態
逆流性食道炎は攻撃的因子と防御的因子のバランスが破綻して発症するものと考えられている。攻撃因子として胃酸、胆汁の逆流による粘膜障害、防御因子として逆流防止機構などがある。食道裂孔ヘルニアがあると胃酸が逆流して食道粘膜が障害を起こすと考えられている。
3)検査方法
胃内視鏡検査で食道粘膜のびらんや潰瘍があると診断でき、食道裂孔ヘルニアや多量の胃液を認めた場合、潜在的な逆流性食道炎を疑う。バリウムを使用した上部消化管造影検査も診断に有用である。
4)治療
生活指導としては腹圧の上昇を防ぐために、コルセット、ベルト、帯などで腹部を強く締めすぎないようにする。重いものを持ったり、前屈する姿勢をとらないようにする。肥満や便秘に注意し、喫煙はやめることも重要である。食事指導として逆流物の量を減らすために一回の食事量を少なくし、就寝時の逆流を少なくさせるために、寝る前2時間の摂食はさける。脂肪食、アルコール類、カフェインを多く含んだ食品を控えることが大事である。
薬物治療として酸分泌抑制剤があるが、近年90%の有効性を持つ強力な酸分泌抑制剤が使用できるようになった。プロトンポンプ阻害剤がこれで3種類が発売されている。長期投与も可能でほとんど副作用がない。服用した患者さんは速く来ればよかったと言う方が多い。この薬よりは酸分泌抑制の弱い薬もあるが軽快する方も多い。制酸剤、粘膜保護剤や消化管運動調節剤も有効である。内視鏡的治療や外科的治療も医療の進歩に伴い進んできているが薬物治療がほとんである。
最後に逆流性食道炎による胸やけの方がおられましたら、薬が大変効果あり症状がほとんど消失しますので怖がらず受診することをお勧めします。