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忘れてはいけない「寝る子は育つ」

 人間にとって睡眠は人生のおよそ3分の1を占める休息、安らぎを得るための時間といわれており、子供が大人に成長するように、睡眠も変化していくことがわかっています。特に、発達の時期にある子供達にとって、睡眠の阻害は、健やかな成長発達に影響を及ぼす可能性があると報告されています。

 小児の睡眠障害の大部分は、睡眠呼吸障害です。数年前、運転士さんの居眠りによる新幹線のオーバーランの事故があり、運転士さんの居眠りの原因が、睡眠時無呼吸と報道され、一躍注目されたため、大人の病気と思われるかもしれませんが、子供においても大変重要な病気です。

 大人の場合、睡眠時無呼吸の合併症として、高血圧、心不全、不整脈、動脈硬化、脳血管障害、胃食道逆流症などがあります。子供の場合にも、心血管系や消火器疾患の合併症は報告されていますが、最近の話題は、学業不振、注意力低下、衝動性、攻撃性など認知・行動面での合併症が多いことです。まだ、明確に解明されていない部分が多く、今後の研究が必要といわれています。

 大事なことは、健やかな睡眠状態で眠ることです。一般的に、睡眠時無呼吸の主な症状は、いびき、日中過眠、肥満です。小児の場合も主な症状はいびきですが、睡眠中の激しい体動、鼻閉なども症状といわれています。睡眠時無呼吸を疑う症状がある場合、検査をうけ、睡眠時無呼吸と診断されれば、様々な治療法があります。子供から大人まで、関係してくる病気です。大事なのは、「いびきがうるさい」と思うだけでなく、病気かもと心配することです。

 その他、小児の睡眠を阻害する要因に、不規則な生活リズムによる睡眠不足などがあり、成長発達に悪影響を及ぼします。規則正しく生活し、睡眠覚醒リズムを確立することは、子供達の健やかな成長のために必要です。小児の睡眠障害は、まだまだ未知な部分が多いですが、「寝る子は育つ」といわれるように、睡眠はとても重要であることを忘れないでください。

(矢野 喜昭)