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乳幼児期の便秘

 乳児期に離乳食が開始されてから便秘になって困ることがあります。便秘を放置しますと次第に悪くなり慢性化しますので、早めの対応が大事になります。

 便秘とは一般的には3日以上排便がない状態が習慣的に続く場合ですが、毎日ウサギの便のような小さくて硬いころころの便が少しずつ出ている状態も便秘のためと考えられます。便が肛門の近くの大腸に貯まると、排便しようという反射が起こり排便しますが、便が貯まった状態を放置すると大腸が次第に拡張してきます。貯まった便は次第に硬くなり、排便時に肛門が痛くて切れたりして排便が苦痛となりどんどん便が貯まり大腸が拡張してきますので悪循環を起こします。貯まれば貯まるほど大腸は大きくなってきて、収まりきらない状態になると少し肛門から便が押し出されるような状態になり便秘のひどい状態になります。

 便秘の治療は食事療法と薬物療法が大事です。食事療法として、ヨーグルトなどの乳酸菌を毎日摂取することや繊維の多い食物(芋や豆類や海草、きのこなど)を多く摂取することにより便を軟らかくすることです。水分を多く取ることが便を軟らかくすると信じて、いつも大量の水や牛乳を飲ませているのですと言われる方がおられますが、大腸では水分を吸収しますので、いくら水を多く飲んでも貯まった便が軟らかくなるまでにはいたりません。食事療法の効果は2-3ヶ月くらいずっと続けることによってやっと効果がでますので、すぐに改善は期待できません。

 便秘があるという場合はまず薬物療法が確実ですので小児科医にご相談下さい。薬物療法は刺激の少ない下剤を飲んでもらいますが、服薬当初は肛門の近くに貯まって硬くなっている便はいくら飲み薬を飲んでもなかなか排便されませんので、1-2週間は座薬や浣腸により排便させます。この時は無理に排便させられますので辛い状態ですが、次第に貯まった便が少なくなって軟らかい便となりますのでスムースに排便できるようになり大体1-2ヶ月で服薬も中止できるようになります。

(石川 純一)