東温市医師会

ホーム > ドクターの健康百科 > ワクチンを考える(その2)

ワクチンを考える(その2)

 我が国の予防接種体制は世界標準にはるかに及ばないと批判され、世界で広く使われているワクチンが日本では接種できないという状況にありますが、それでもこの2年の間にいくつかの新しいワクチンが使えるようになりました。

 Hibワクチン「アクトヒブ」(20年12月発売)と小児用7価肺炎球菌ワクチン(PCV7)「プレベナー」(22年2月下旬発売)

  乳幼児の細菌性髄膜炎は、かかるととても怖い病気ですが、その原因としてインフルエンザ菌b型(Hib)と肺炎球菌が4分の3以上を占めます。上記の2つのワクチンを使うとそれらによる発症を予防できます。

 接種回数は開始年齢で違いますが、生後2カ月から6カ月に始めた場合はどちらのワクチンも初回免疫を4週間開けて3回、1年後に追加免疫を1回の計4回となります。どちらも三種混合ワクチン(DPT)と一緒に打つことができます。

 子宮頚がん予防ワクチンーHPVワクチン「サーバリックス」(21年12月発売)

 子宮頸がんは国内では年間1万5千人以上が発症し約3500人が死亡していますが、その原因はヒトパピローマウィルスです。性交渉を通じて感染するため予防には若年層へのワクチン接種が有効です。10歳以上が対象で3回の接種が必要です。12歳の女児全員が接種すれば、頸がんにかかる人や死亡者を73%減らせると推計されます。

 生命にかかわる感染症やがんがワクチンで予防できることはすばらしいことです。いずれのワクチンも高い有効性と安全性が世界で証明されており、子供達を守るために接種が望まれますが、問題は定期予防接種でないため公費ではなく高額な自費負担になることです。1回の接種費用は単独でHibは7千円、PCV7は1万円くらいかかります。HPVは3回で5万円前後かかります。全国的には一部の自治体で一部〜全額公費負担をするところも出てきていますが、1日でも早く国が定期接種化することを望みます。それまでは6月から給付される「子ども手当」を子供達へのワクチン接種費用にあてるというのはいかがでしょうか?

(接種方法や実際の費用については小児科など医療機関にお問い合わせください。)

(高原 完祐)