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飲むヒアルロン酸???

 少し前にTVで「○潤」って宣伝が流行っていました!(今でも時々ありますが。)

 階段をさっさっさっと、上り下りする高齢者が映ります。その横で飲むヒアルロン酸「○潤」って出ます。これを見て、ヒアルロン酸を飲んだら階段をさっさと上り下り出来るようになる!と私も思いました。しかし、私は整形外科医なので、これって整形外科泣かせなのでは?と。我々にとっては変形性膝関節症の患者さんにはヒアルロン酸の関節内注射!ってのが常識です。

 それで、調べてみました。ヒアルロン酸とは?

 文献的に、{ヒアルロン酸は、人間の体の様々なところに存在しており、脊椎動物の結合組織中に存在する生体高分子(複合糖質)}のことです。生体の中で特に濃度が高いのは、へその緒、関節液、目の硝子体、皮膚などです。特に関節においては潤渇の働きをしている(すべりをよくしている)関節液や関節軟骨に多く存在し、様々な働きをしています。}との事です。なにか、難しくてよく分かりませんが、要は、関節内には関節液という関節の動きを良くするための液体があり、ヒアルロン酸は関節液の中に多く存在している、という事なのです。

 さらに、調べてみました。口から飲んで効くのか?

 文献的に、{経口投与(飲むと)されたヒアルロン酸は腸内で腸内細菌により分解され一部が吸収され、血中へ移行します。しかし、軟骨は無血管組織なので、血中に移行したヒアルロン酸が軟骨に移行することは考えられません。軟骨は関節液から栄養を受けています。}という事です。つまり飲んでも効かない!ってことなんです!が、ちなみに、百歩譲って、関節液は関節包の滑膜(血管組織)から出来るので、滑膜まで行ったヒアルロン酸が関節液に移行したとします。「○潤」の1粒に含まれるヒアルロン酸の量は105mgで、1日に4〜6粒なので、1日に420〜630mgです。文献的に経口投与(飲んで)ヒアルロン酸で科学的に有効な効果を得るためには、1日に体重あたり1000mg必要です。ちなみに体重60kgの人は60g(60000mg)必要です。ということは、95粒〜143粒飲まないと効かない(ひえー)っていうことなのです。ですから、4〜6錠飲んでも全く効かないのではないでしょうか?

 で、ある事に気がつきました。

 飲むヒアルロン酸のCMで、階段の上り下りについては言ってますが、目にいいとか、皮膚にいいとかは全く言っていない!という事に?医学的にヒアルロン酸は、眼科や皮膚科ではちゃんと使われています。

 結論としては!飲んでも効かない。髪の毛を飲んだら毛が生えるか?血を飲んだら貧血が治るか?って事です!

 CMには「これはあくまでも個人の感想です」と出ますが、今回の私の文章もあくまでも私個人の意見であります。また、飲むヒアルロン酸はあくまでも食品なのです。

(西本 章)