近年「パニック障害」という疾患が認められつつあります。元来「パニック」という言葉は違う意味でいろいろと使われて来ました。医学的には自閉症などの疾患で「パニックを起こす」という言葉は以前からありました。それ以外の「頭がパニックになって…」などは日常使われて来たようです。その「パニック」とこれから説明する「パニック障害」は全く別のものです。
「パニック障害」とは、特に原因もなく突然激しい不安に襲われ、胸がドキドキしたり、息が苦しくなったり、めまいを起こしたりする発作がパニック発作と言われ、これが繰り返し起こる疾患です。近年は100 人に1 、2 人の割合で認められる頻度としては多い疾患です。当クリニックを受診する方の中でも増加傾向にあります。
一度このパニック発作を経験すると、「死んでしまうのではないか? 」と心臓や呼吸器の疾患を疑い精密検査を行っても何の異常も認めないのがこの疾患の特徴でもあります。パニック発作は単なる気の持ちようで起こるわけでもなく、気をしゃんと持てば治るわけでもありません。原因は脳内の神経伝達物質のバランスの乱れと言われているからです。発作が何回か起こると「また起こるのではないか? 」と外出を避けたりして、生活範囲を狭めてしまいます。そのために日常生活がスムーズに楽しく送れなくなります。
パニック障害は、きちんと治療すれば随分改善します。治療は心療内科や精神科で行います。主には薬物を使用し平行して精神療法を行います。なかなか「そんなことで心療内科を受診するなんて」と思う方や、病気という意識がなかった方も自分の生活に制限が加わっているなら、治療をして一日も早く以前の制限のない生活に戻ってほしいものです。