近年、高齢妊娠・高齢出産が増えています。この春、「高齢出産」をテーマにしたドラマが2本放映され、一般の人の関心も高いようです。わが国において、1970年と2004年を比較すると、全出生数は193万4239人から111万721人と激減する一方、母親年齢40歳以上での出生は10408人から19289人とほぼ倍増しています。原因が「高学歴化」「少子高齢化」「経済の低成長」による、若年層の「低所得化」「晩婚・非婚化」などの社会的な要因であることは明白です。さて、自然妊娠の最高齢出産はアメリカのルースさん57歳。しかし、現実問題として、43歳ぐらいを超えると、妊娠、分娩は極端に少なくなります。これは卵子の質の低下に原因があります。
ところで、高齢妊娠・分娩は、どれだけ危険なのでしょう。確かに妊産婦死亡率は20‐24歳の妊婦に比べ、40歳以上の妊婦は20倍に増加するという報告もあり、実際、染色体異常や流産は別にして、高齢妊娠・分娩では、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、それに前置胎盤、常位胎盤早期剥離など母児の生命も脅かされるようなアクシデントが2倍以上の頻度で起きます。しかし、高齢妊娠・分娩と言っても比較的安全であるという報告もあり、その理由としては、ほとんどのアクシデントも結局は現在の医療レベルであれば、十分対応できるとされているからです。
最後に、現在の妊娠分娩の最高齢を調べますと、2007年のインドのオムカリさん。何と70歳。しかも双子だったそうです。予定より1か月早く帝王切開で出産。どちらも900g.( 本来なら2000g.以上のはず) だったそうで、現在の生殖・産科・新生児医療の恩恵無しにはありえない話です。