骨粗鬆症(こつそしょうしょう)という言葉は皆さんご存知ですね。加齢や閉経などによって骨の強度が下がり、骨折しやすくなった状態です。骨粗鬆症になると、しりもちをついたり重いものを持ち上げたりしただけで、背骨や大腿骨近位部(脚の付け根)などの骨折を起こしてしまうこともあります。中にはこれらの骨折をきっかけに寝たきりになる人や歩きにくくなる人もいます。(多くの人は歩けるようになるので、現在治療中の方は悲観的にならず頑張ってください。)骨の強度(折れにくさ)には、骨の「量」が70%、骨の「質」が30%関与していると言われています。骨の「量」は骨密度を測ることで調べられます。東温市では40歳から70歳の女性に5年ごとの検診を行っています。これに対して骨の「質」は今のところ測ることができません。ただ、喫煙者、アルコールを多く飲む人、親兄弟が大腿骨近位部骨折を起こした人、糖尿病の人などは骨折しやすいことが統計的に分かっており、骨の質に関与すると考えられています。当てはまる人は特に注意しましょう。最近数年間で効果の高い骨粗鬆症の治療薬が沢山使えるようになりました。しかし、それでも骨の強度を数%上げるに過ぎません。(ただ、薬を服用しないとどんどん骨強度は低下しますから、数%上げることも骨粗鬆症の患者さんには大切なことですよ。)また、副作用を生じる人や他の服用中の薬剤や既往症の関係で薬を服用できない人もあり、できれば骨粗鬆症を予防したいですね。
予防のために大事なのは若い頃から骨を強くしておくことです。運動により骨を刺激することと、骨を作る材料であるカルシウムをしっかりとる事が大切です。すぐに乗り物やエレベーターを使っていると、自分で歩いて荷物も運んでいた今のお年寄りよりも将来危ういのは明らかです。自分の足を使うよう心がけましょう。スポーツも良いですね。カルシウムを豊富に含む食品の中でも、乳製品はカルシウムの吸収効率が高いので、バランスの良い食事を心がけ、さらに乳製品で毎日200r程度のカルシウムを摂取することをお勧めします。できるだけ若いうちからコツコツと骨の貯金を。